单项选择题

(1) 十年絵を描いてきて、最近になってようやく筆の止めどころがわかってきたかな、と思います。描きすぎずに筆を置くコツが少しずつわかってきた。 最初のうちは、筆が多くなるものなんです。描きたいという気持ちが強いだけに、まだ足りない、まだ足りないという気になって、どんどん描き足してしまう。だけど、それを無理してセーブすることはないと思います。やっぱり、①とことん行ききっちゃったほうがいいんですよ、何事も。 たとえば、空腹のときに腹一杯食べて満腹感というものを味わっておかないと、加減というものがわかりません。人間、満腹を知っているから、これはまだ五分(注1)、腹八分といったらこの程度だという加減がわかる。一回とことんやってみることで、抑えることや、行きすぎないことの良さが初めてわかるものですからね。 (中略) 自分が描きたいモチーフそのものと対峙(注2)して、自分の感じたところで筆を進めている分にはいいんですが、客観的にそれを見て、ここが足りない、あそこが足りないと思って描き足してしまうと、止めどころがわからなくなってしまいます。それは、自分がどう見てどう感じたかという気持ちを素直に絵にするということとは違ってくる。②絵を説明してしまうことになる。そうすると、絵がうるさくなります。 客観的な眼を持つことも確かに大事なことではあるんですが、見たまま感じたままのストレートな気持ちを解説してはいけないと思うんです。 (片岡鶴太郎『鶴太郎流 墨彩画人門』による) (注1)五分:全体の50パーセント (注2)対峙する:向き合う

②絵を説明してしまうことについて、筆者はどのように考えているか。

A.絵を思いのままに描き足しすぎるので、絵に面白みがなくなる。
B.絵を描きたいという気持ちを抑えるので、表現が素直でなくなる。
C.絵を客観的な視点で描くので、見る人にあまり感動を与えられなくなる。
D.絵を客観的に見て描き足しすぎるので、感じたままの気持ちが表現されなくなる。